コラム
建国の精神 The Spirit of American
2008年12月10日
黒人のバラク・オバマ上院議員を、第44代大統領に選んだアメリカ国民の選択に、世界中の人々が大きな拍手を送りました。
このニュースを聞いて私は、アメリカの基礎を造った大統領達を思いうかべました。「民主主義」を旗印に、建国に尽くした初代大統領のワシントン、「自由、平等、幸福を追求することは、天から与えられた人の権利」として、独立宣言を起草した第3代のジェファーソン、「全ての人が自由でなければならない」と説いて奴隷解放宣言を行った第16代のリンカーン。
偉大な大統領達の掲げた理想に憧れて、「国民になりたい」と地球の至るところからやって来た人たちで築かれたのがアメリカである、と言ってもいいでしょう。
開かれたビジネスチャンスに挑む人、優れた環境で学問や研究に取り組みたいと考えた人、創造的な教育を求める留学生など多数の訪問者もまた、アメリカをめざしました。
オバマ大統領の誕生は、世界の人々が抱いた希望が、アメリカ人の心にまだ根強く生き続けていることを表しています。
アメリカには、100年前に合衆国政府の政策として始まった、「4H」という子供たちのための素晴らしい教育活動があります。中心となっているのが各州の州立大学で、私達とも共同で毎年国際交流を行っております。
その州立大学の入学願書に書かれてある言葉にも、アメリカの建国の精神が流れていました。
「私達は、大学運営のすべてに於いて、学生たちに公平な機会を与えます。決して肌の色、年齢、性別、宗教、生誕地、障害の有無などを理由に差別をしないことを誓います」。
私達日本人は、平和を愛し、ハイブリッド車などの優れた工業技術や寿司のような見事な食文化を生み出す国民です。そして、年間1,700万人が海外旅行に出かけています。 しかし、まだ知らないことを固定観念で決め付けたり、色眼鏡で見てしまう傾向も残っています。
次の世代を担う若い人たちには、ぜひ「偏見のない世界観」を育てて欲しいと思います。
その第一歩として、百数十もの文化的背景を持った人々が一つの国を形作っているアメリカに触れてきてください。どの国にも、光と影の部分はありますが、「多様な価値観を認め合い、肌の色に関係なく大統領を選んだという崇高な精神が生まれる土壌がある」ことをきっと感じることでしょう。
ユートレック国際交流センター
代表 宮崎哲人