コラム
今、一番大切なこと Individual Thinker
2012年12月1日
「ラーメンのような物が入っているスープをズルズルとすすったら、家族みんなの目が自分に向けられた...」と今年の夏、アメリカのホームステイ先での体験を話してくれた男の子(小4)がいます。その父親は30年前にやはりユートレックの交流で海を渡りました。「外国では、スープやスパゲッティなどは、音を立てて食べてはいけない」と男の子も行く前に聞かされていました。でも優しい家族の人達から急に視線を浴びた時に、「ああ、これはまずい...」とすぐに気付き、それから音を出すのを止めたそうです。このように事前に情報として知っていることと、実際に体験することとは大違いです。男の子にとって、その国のマナーが初めて本当に身に付いた瞬間でした。
最近、経済界では"グローバル時代に対応した人材を、急いで育成しなければ日本は生き残れない..."と色々なセミナーやトレーニングが行われています。その表題は事実だと思います。しかし、「世界規模で」などと訳されるグローバルとは、一体何でしょうか。私は、それぞれのローカル(地域)の人々の生活、文化、社会を理解して初めて得られる概念だと思います。
今年のアメリカでは、4年に1度の大統領選挙がありました。小学校2年生のクラスでも、先生が大統領とは何か、その歴史や権限を話し、今誰が立候補をしているのかも、やさしく説明をします。
先生が「もし自分が大統領になったらどうしますか?」と尋ねると、子供たちは興奮気味に一斉に手をあげて、「ホワイトハウスをレインボー(虹色)に塗り替える」「子供が夜10時まで起きていてもよい法律をつくる」「世の中の物をただにする」と盛り上がりました。選挙当日は、応援した候補がどうなったかみんながテレビにくぎ付けになったそうです。小さい時から社会と繋がった教育が行われ、生徒たちは学校を楽しいところと思って来ています。
未来を担う日本の若者たちにとって今一番大切なことは、他の人達と横並びではない、自分の考えをしっかり持つ人(Individual Thinker)になることだと思います。
そのためには、多様な文化や、考え方がある広い世界に出て行き、直接の体験(Firsthand Experience)をたくさんすることです。それぞれの個性を大切にし、自由な発想が尊い価値として認められている社会を見て来てください。
ユートレック国際交流センター
代表 宮崎哲人