コラム
アメリカ人のおもてなし Hospitality
2013年12月1日
ニューヨークの郊外に、トレーダー・ジョーズという、スーパーがあります。オーガニック(有機)食品などの店として良く知られています。
そこには、「将来のお客さん、見習い中」Customers in Trainingと書いてある赤い旗を立てた子供専用のカートがあります。子供達はその小さなカートを押しながら、商品棚に隠された赤い鳥をさがすのです。宝さがしのようなものですが、「見つけたよー」と子供達は嬉しそうにサービスカウンターであめ玉に交換してもらいます。 ユーモアがあり、いかにもアメリカらしいアイデアだと思いました。
タクシーに乗って空港に向かう途中、道路の真ん中にパトカーが 1台こちらを向いて止まっていました。「何をしているのかな...」と一瞬思いましたが、車はそのまま進んで行きました。ところが...次の瞬間。反転したパトカーは、サイレンと共に追い越して行き、先の車の前で横づけし、道路をふさいでしまいました。結局、私のタクシーを含め、大型トラックなど5台もの車が捕まりました。理由は、スクールバスが反対側に止まっていたのに、停止しなかったからです。多額の罰金が科せられました。
アメリカでは、道路でスクールバスが停車している時は、反対車線も含めて全ての車が停止しなければなりません。なぜなら、バスを降りた子供たちが道路を渡るかもしれないからです。
子供達を守ることが、社会の優先課題と考えられています。
毎年、海を渡ってアメリカの大地でホストファミリーと生活をする日本の若者達は、日本とは異なった物の考え方、優れた社会のシステムに出会い、驚いたり、感動したりしています。
日本の道路は混んでいるので、スクールバスの話がそのまま通用するかどうかは分かりませんが、子供達の安全向上のために、日本でもさらなる進化が必要です。
それぞれの国に、光と陰の部分はありますが、日本はまだまだ海外の国々から学び続けなければならないことが山ほどあります。それらに気づくこと自体も、実際に行って体験をしないと分かりません。
ユートレックの国際交流は、若者達が「直接の体験」を通して、刺激を受け、自分の人生を切り開くエネルギーにすると共に、より良い日本や世界をめざす未来のリーダーになってほしいとの願いで、進められております。
東京オリンピック誘致のプレゼンテーションでは、日本人の「おもてなし」が紹介されましたが、アメリカの人々が昔から持っているボランティア(無償)の素晴らしいホスピタリティ(歓待)も、ぜひ体験してきてください。
特定非営利活動法人 ユートレック
理事長 宮崎哲人