コラム
信念と行動 Continue to believe and act
2019年
今年の7月、アメリカ、ワシントン州のシアトル市で、市内にある約5,000のレストランやカフェにおいて、小さ過ぎてリサイクルが出来ない使い捨てプラスチック製ストローやフォークなどを、禁止する法律が施行されました。アメリカの主要都市では初めてのことで、世界で進む海洋汚染を防ぎ、地球の自然環境を守るためです。続いて、同市で誕生したスターバックスコヒーは、2020年までに世界の28000店でプラスチック製のストローの使用を取り止めることにしました。規制対象外のシアトルマリナーズや多くの企業も賛同して、この動きは他の都市をはじめ日本や世界に広がっています。たとえ大統領が自国ファーストの内向き政策を掲げていても、アメリカでは常に新しい発想、考え方が生まれ、より良い社会をめざして、人類共通の問題にも立ち向かう人々がいるのです。
もう一つ感動したことは、ボランティア精神です。アメリカでは多くの人が何らかのボランティア活動に携わっており、それが日常生活で当たり前のように行われています。他の人の助けになること、社会に役に立つことが、彼らの価値観であり伝統となっています。当時ユタ州の大学生だったMaresa(マリサ)は、ユートレックの1年間国際研修生として選ばれて来日しました。東京本部のボランティア・スタッフとなったMaresaは、サマーキャンプなどのリーダーを務め、海外に旅立つ子供達や、日本にやって来る若者たちを、心を込めて手助けをしていました。それから30年が過ぎましたが、Maresaはユタ州の地元の教育委員会に勤務しながら 日本との交流を続けてきました。そして現在は、ユートレックとの交流のパートナーとして、認可を受けて設立した非営利国際交流組織、Mountain West Cultural Exchange の代表を務めています。この夏、ユタ州で行われた日本の子供達とボランティア家族のメンバー数百人が参加する、Farewell Party(お別れの会)に行きました。抱き合い、別れを惜しむそれぞれの目には、感謝の涙があふれていました。私は、優しい人々が、あんなに多勢いることを間近に見て、胸が熱くなりました。日本の子供達が滞在最後に参加した4日間のキャンプでは、ホストファミリーのお父さん達が 、一生懸命お世話をしていました。その一人Bobby(ボビー)が、「このボランテイアは、私の楽しいバケーションだよ!」と笑顔で言ったことが忘れられません。
社会を前進させる価値観、行動力...未来を担う若者達には、学んで欲しいことです。
特定非営利活動法人ユートレック
理事長 宮崎哲人