コラム
多様な価値観との出会い Encountering diverse values
2020年
夏前のことですが、アメリカのCresskill (クレスキル)という町の小さなレストランで、Coffee with Cop 「お巡りさんとコーヒーを」と言うイベントが行われました。
文字通り、町の人達と警察官達が一緒にコーヒーを飲みながら、人々が日常生活で困っていることはないかと尋ねるなど、気楽に語り合う交流の場です。レストランの外にまで人があふれるほど盛況でした。みんなの笑顔がこぼれる中で、記念撮影をする人達もいました。お巡りさん達は小学校にも来て、子供たちに警察、消防、救急へのダイアルである911の利用方法の紹介や、絵本の読み聞かせもしてくれています。登下校でも必ず見守ってくれる彼らを子供も大人も心から信頼して、ファストネームで言葉を掛け合う温かい人間関係が育まれています。
アメリカの子供達は小さい時から、I am special !「私は特別」と思って育っていきます。「2人といない君は唯一の存在」「他の人と違っていて当たり前」だと、親や先生から教えられているのです。小学校の国語の授業でも、みんなが同じ教科書を使うのではなく、半分は子供達が自分で選んできた好きな本を読みます。3年生のヒューゴ君は、自分がちょっとしたことでも成し遂げると、I am so proud of myself 「僕ってすごいな」と言います。小さい時から自信を積み重ねていることが分かりました。たとえ子供達が、テストやスポーツなどで上手くいかないことがあっても、先生は注意をするよりYou can do it 「君なら出来るはず」と励ましてくれます。個を確立すること、個を尊重することがアメリカの教育の基本ではないかと思います。
日本は美しい自然と、誇るべき伝統文化や食文化を持っていて、勤勉な人々によって素晴らしい発展をしてきました。しかし、冒頭で紹介した様に、世界にはまだまだ私たちが知らない考え方、社会がたくさんあります。
ユートレックのホームステイ交流では、その土地の生活をしながら、ホストファミリーと一緒に、多様な価値観を学び合うことがゴールの一つになっています。それは驚きや感動を伴うことでしょう。その体験がエネルギーとなって、若者たちが豊かな未来を築いてほしいと思います。
特定非営利活動法人ユートレック
理事長 宮崎哲人